ギャンブルは借金の原因として国内で4番目にあげられます。そして、ギャンブルが原因で債務整理した人は数え切れません。
パチンコに依存した末に多額の借金を積み重ねてしまい自己破産に踏み切った人の体験談です。本来、自己破産はギャンブルが借金理由では免責許可は下りません。
しかし、弁護士の尽力により、自己破産が成立したという特殊なケースをご紹介します。
ギャンブル依存で借金返済が不能に
今回、自己破産に踏み切ったAさんも典型的なパチンコ依存症で、多額の借金を抱えていました。はじめは10万円、負ければさらに20万円と、最終的には自分でも把握しきれないほどの負債を抱え返済に行き詰まった結果、弁護士事務所へ相談しました。
借金の総額は480万円、借入件数はローン会社やクレジット、消費者金融や銀行系を合わせて8社です。全て1年以内の借入で、返済した期間はわずか8ヶ月。半年ほど借金を放置し、取立てに困ったAさんは解決策を求めて弁護士を訪ねたわけです。
返済能力が無いので自己破産を選択
Aさんの年収はおよそ240万円。収入をはるかに上回った借金を返す手立ては個人再生か自己破産の2つに絞られました。任意整理や特定調停では過払い金の返還請求、利息の軽減を試みても現状の回復にはならないと判断したうえです。まずは、個人再生ですが、Aさんには取り留め返済に充てる財産もなく配偶者もいません。
借金を大幅に軽減できる要素があり、再生計画を裁判所に申し出ようとしたのですが、弁護士事務所へ依頼に来た直後、会社を解雇されてしまいました。退職金は120万円。個人再生は無収入では成り立ちません。
Aさんに就職を勧めましたが早急の対処が難しいとの理由で断念。残された選択肢は自己破産に絞られたのです。自己破産の着手金と弁護士費用を合わせ80万円、Aさんは悩みました。
誤解されやすい自己破産
任意整理、特定調停、個人再生の選択肢がなくなったAさんに対し、弁護士は自己破産についての流れを説明しましたが、本人は乗り気ではない様子。弁護士が無闇に提案を推し進めることはできません。あくまでも本人の意思によって決めるためです。
自己破産と聞くとネガティブなイメージばかりが頭に思い浮かびます。Aさんについても同じでした。数日後、Aさんは弁護士に尋ねました。
「自己破産したら、人生終わりですよね・・・?」と。
弁護士はAさんに、なぜ、そう思うのか尋ねました。Aさんは重い口を開き、「自己破産すると仕事はできなくなるし、携帯も持てない、家も借りられない、そうなれば生きていけない。一生ブラックリストに載ったままじゃ将来、ローンを組むこともできない」誤解だらけの認識が自己破産の決断を足止めしていました。
弁護士は、Aさんが想像している自己破産についての知識を正しく訂正し、理解させることから始めました。
自己破産しても携帯は持てます
これらを踏まえたうえでAさんの疑問を解決すると、「自己破産しても仕事はできる、携帯も持てる、家も借りることができる、最長で10年待てばローンを組むことが可能」となります。
ただし、携帯電話の契約は過去に強制解約を受けていないことが条件です。携帯電話の料金を滞納して強制解約されたことがあれば、審査が通りにくくなるでしょう。
また、携帯電話の分割購入は利用できません。契約する際、一括購入か無料の携帯電話となります。賃貸についても同様で、家賃の未払いで強制退去を受けたことがあれば、場合によっては審査が通りにくくなります。つまり、自己破産と賃貸の契約は別問題ということです。
通常は借金理由がギャンブルでは免責許可は下りない
『自己破産=借金が取り消される』わけではありません。自己破産しただけでは借金は残ったままで、債権者の取立てが制限され督促されることがなくなるだけです。借金を0円にするためには「免責許可」が裁判所から下りなければなりません。
また、連帯保証人がいる場合、債務者が債務の免責を受けた時点で借金は保証人が支払うことになり、債務者の借金は0円になっても保証人の権利は消滅しないのです。
そうなれば、債権者は保証人に対して返済を求めるでしょう。自己破産宣告は一定の条件を満たせば認められますが、裁判所が自己破産を認めなければ破産することはできません。
そして、債務の免責には条件が定められています。Aさんの場合、ギャンブルが原因で自己破産するので債務の免責が許可される確率は低いと言えます。
しかし、弁護士はAさんの将来性と年齢、今後の将来設計、現状において解決策が無いことを明確にし、裁判所に対して債務の免責を要求したのです。
その結果的、Aさんは自己破産宣告を受け、債務の免責が許可されました。幸いにも保証人がいなかったため、事実上、借金は0になったのです。
自己破産後の人生
破産後、Aさんは自動車工場で整備員の見習いとして勤務しています。携帯電話も契約し、新しいアパートを借りて彼女と同棲しているようです。破産宣告を受けてから2年が経ったとき、Aさんに聞いてみました。
「あれから、パチンコへは行きましたか?」するとAさんは、「一度だけ行きました。けれど、すぐに帰りました。あの時のことと今の彼女のことを思い浮かべたら震えてきたので、それ以来はまったく行っていません」もう二度と、あのような事態を招かないように今では必死に働いているそうです。
自己破産するまでに至った経緯への後悔を拭いきれずに彼女に打ち明けたところ、一言だけ『大丈夫、頑張ろう』と言ってくれたそうです。どうやらAさんはギャンブルへの依存を断ち切り、第二の人生のスタートを自分の足で歩き出したようです。
必ずしも自己破産することが正しいとは断言できません。借りたものは返す、これはいかなる時も鉄則です。しかし、収入が無く返済ができない、返済計画が立たなければ任意整理も特定調停も認められず、そのうえ、個人再生も不可能となり、最善の解決策が見つからない場合には自己破産を検討しなければならないでしょう。
Aさんのように間違った認識で債務整理に抵抗を感じている債務者の方、それは得策ではありません。借金を放置したままにすれば現状は悪くなる一方です。
第二の人生を自分の足で歩き出すためには正しい方法で借金を整理し、ギャンブルへの依存を断ち切らなければならないのです。
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