自己破産の免責とは、借金の返済義務をいわゆる帳消しにして貰うことです。裁判所に申立てをおこない、手続きを経て免責許可の決定が下りれば晴れて借金から解放されることになります。
自己破産は申立てをおこなえば誰もが借金が帳消しになると安易に考えがちですが、必ずしもそうではありません。一定の要件とともに、申立てに不正があったり、手続き内容に不備があったりすれば、裁判所から免責許可が下りないことがあります。
ここでは、免責許可を得るために必要な方法について解説していきます。
免責許可の決定とは
破産の申立てを裁判所に手続きすれば破産宣告は受けられますが、それだけでは借金が残ったままです。免責を認めてもらうという免責許可の決定が下りないと自己破産の手続きは完了したことにはなりません。
免責とは、「義務の取り消し」を表します。自己破産における義務の取り消しとは「返済義務の消滅」です。免責を認められた時点で返済の義務が消え、借金は帳消しになります。
破産宣告は支払不能であることを裁判所が認めただけで、肝心な免責許可が決定しなければいつまでたっても返済義務は生じたままなのです。
破産申立 ⇒ 破産宣告 ⇒ 免責許可の決定 ⇒ 返済義務が消える
免責に特別な手続きは必要ありません。以前まで個別の手続きが必要でしたが、現在は破産の申立てを裁判所に手続きすることで、同時に免責許可の手続きも開始されるようになりました。(平成17年11月改正)
手続きも重要ですが、免責許可で大切なポイントは“破産する正当な理由”を裁判所に証明することです。“正当な理由”がなければ免責が認められる可能性は低くなります。
また、単に支払不能だから…、といった安易な理由だけでは免責許可が決定されないおそれがあります。
免責が認められないケースとは
前述したように、破産申立をおこなえば誰もが借金の免責許可が得られる訳ではありません。借金理由とともに申立てに不正が無いかも問われます。
借金理由に関しては、借金の原因が「無駄遣い」、「ギャンブルへの投資」、「乱暴な買い物」、「浪費」など、あまりにも“不誠実な理由”と判断された場合には免責が不許可になる可能性が高くなります。
また、不正に関しては「計画的な自己破産」、「虚偽の申立て」、「財産の偽装や保全」、「申立て後の借金」などが挙げられます。
裁判所や管財人から申立てに悪意があると判断された場合には免責は認められません。あくまでも、正当な理由が免責許可を受けるための前提になります。
しかし、ギャンブルや浪費など、本来なら免責不許可に該当するケースでも、免責が許可されることもあります。法律上では免責不許可の理由がルールとして定められていますが、支払不能や借金したことへの反省など、現状と今後の展望を裁判所に理解してもらうことで免責許可が決定される可能性は十分に考えられます。
「こんな理由じゃ免責は認められないかもしれない…」、例えそう思っても諦めてしまうのは得策ではありません。
もし、免責不許可が不安であれば自己破産の専門家に相談すれば手続きのアドバイスが得られると思います。
免責許可を得るための注意点
繰り返しますが、自己破産は免責許可の決定が下りないと返済義務は残ったままです。
免責許可を得るためには、不正な申立てはおこなわない、申立て後は借金しない、など裁判所の心証を悪くするような行為は控えなくてはなりません。
せっかく弁護士に依頼して破産申立てをおこなったにも関わらず、免責不許可になったため、残ったのは借金と弁護士費用ということもよくある話しです。
また、破産申立てをしても免責許可が得られない債権がありますので、こちらは計画的な返済を検討しておきましょう。
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