自己破産は無料ではできません。裁判所を介しておこなう手続きのため、申立時に諸経費が必要です。
また、破産者に財産がある場合には管財事件として扱われますが、その際も財産の金額が多ければ多いほど予納金も高くなります。これは、財産処分に多くの手間が必要になるためです。
逆に財産がない場合の同時廃止事件は財産の回収・分配などの手続きが必要ありませんので費用も安くなります。
しかし、自己破産の手続きは裁判所を介するため煩雑であり、法律知識を持たない一般人が自力で破産手続きを進めていくのは困難です。そのため、ほとんどの人が弁護士や司法書士に依頼します。
当然ながら、専門家に依頼すると弁護士費用がかかりますし、破産管財人への報酬も必要になります。
ここでは、自己破産に必要な費用についてまとめました。
自己破産の費用は財産額によって異なる
自己破産の費用でポイントとなるのは“財産の有無”です。申立者に財産がある場合と無い場合では費用が大きく異なります。
財産が無い場合には「同時廃止事件」として手続きが進められます。逆に財産となるものが残っている場合には「管財事件」として扱われます。
管財事件は、裁判所に選ばれた「破産管財人」が破産者の財産状況を調査し、換金したうえで債権者に分配する流れです。同時廃止は手続から破産宣告まで数ヶ月で完了しますが、管財事件となれば1年前後の期間を費やすでしょう。
その際に発生する「破産管財人への報酬」を破産者が負担しなければなりません。管財事件については同時廃止より何倍もの費用が必要となってしまうのです。
弁護士が破産者を代理して管財事件を手続きする場合、「少額管財事件」になります。手続き内容に違いはありませんが、弁護士が介入することで破産宣告を受けるまでの期間が3ヶ月前後に短縮されます。
管財事件、少額管財事件の場合には裁判所に「予納金」を収めなければなりません。少額管財事件に至っては予納金も大幅に減額されます。少額管財事件は弁護士が代理して手続きした場合に限り認められる方法です。
■同時廃止の予納金・・・10,290円
《管財事件の予納金》
負債総額 |
個人 |
法人 |
5,000万円未満 |
50万円 |
70万円 |
~1億円未満 |
80万円 |
100万円 |
~5億円未満 |
150万円 |
200万円 |
~10億円未満 |
250万円 |
300万円 |
~50億円未満 |
400万円 |
400万円 |
~100億円未満 |
500万円 |
500万円 |
~1,000億円以上 |
700万円 |
700万円 |
■少額管財事件の予納金・・・20万円
※ただし、少額管財事件の取り扱いは、東京地方裁判所と大阪地方裁判所のみです。
自己破産の諸経費
これまで管財事件について説明してきましたが、個人の自己破産のほとんどのケースが同時廃止事件です。予納金の目安は多くても3万円前後といったところでしょう。
また、自己破産に関するそのほかの費用については以下の二つがあげられます。
収入印紙代
破産申立書・・・1,000円
免責申立書・・・500円
予納郵券代(郵便切手)
同時廃止・・・80円×債権者の件数~
管財事件・・・14,100円
(420円・350円・200円×各10枚、80円×50枚、10円×40枚)
少額管財事件・・・4,000円
(200円×8枚、80円×29枚、10円×8枚)
財産がある場合には管財事件でトータル50万円以上が必要になり、少額管財事件は20万円以上の費用が発生します。一方、同時廃止であれば3万円前後の出費です。
自己破産の弁護士費用
自己破産を弁護士に依頼した場合の費用は個々で違います。大まかな目安を一概に算出すると、20万円~80万円といったように弁護士や法律事務所によって差が生じます。
着手金の目安が20万円~40万円、免責が確定した際に支払う報酬金が20万円~40万円です。
《東京弁護士会の弁護士費用基準》 ※債務総額が1,000万円以下の場合
債権者数 |
着手金 |
報酬金 |
10社以下 |
210,000円以内 |
着手金の範囲以内 |
11社~15社 |
262,500円以内 |
16社以上 |
315,000円以内 |
債務総額が1,000万円以上 |
420,000円以内 |
《弁護士会の弁護士費用基準》
債務総額 |
着手金 |
報酬金 |
300万円以下 |
債務総額の8% |
債務総額の16% |
~3,000万円未満 |
債務総額の5% |
債務総額の10% |
~3億円未満 |
債務総額の3% |
債務総額の6% |
3億円以上 |
債務総額の2% |
債務総額の4% |
弁護士を費用で選ぶための注意点
自己破産を弁護士に依頼する際に費用だけで選ぶのは危険です。弁護士でも借金問題に強い事務所とそうでない事務所があるためです。そのため、積極的に借金問題に向き合っている弁護士を探すのがポイントです。
また、自己破産の費用は事務所によって違います。自己破産の電話相談は無料の事務所が多いですので、費用面に関しても詳しく質問してみましょう。
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