個人再生の手続きで注意すること
個人再生は、申立てをおこなえば誰もが簡単に借金を減額できるという訳ではありません。裁判所を介しておこなう手続きですので、必要な条件とともに正しい手続きをしなければ申立ては却下されます。
ここでは、個人再生の手続きの注意点について解説します。
個人再生の手続きと手順
個人再生は、裁判所へ申立てをおこない手続きを進める債務整理の1つの方法です。
管轄の地方裁判所に行き、事務員などに書類の記載方法を教えてもらい申立てをおこないます。
その後は、選任された再生委員の指導を受けながら「再生許可」までおこないます。
手続きの流れ
1 |
管轄の地方裁判所へ申立て:申立て書、陳述書など必要書類を提出し裁判所の手数料、予納金を納める。 |
2 |
再生委員との面接:申立て後に再生委員が専任され面接をおこないます。負債状況説明とこれからの返済予定などの質疑応答。但し、裁判所の判断で個人再生委員は選ばれない事もあります。 |
3 |
開始決定:個人再生委員との面接で特に問題が無ければ数日後に開始決定されます。 |
4 |
再生計画案の作成:個人再生委員の指導を受けながら再生計画案を作ります。債務総額は1/5まで減額(最低限度は100万円、最大で1/10) |
5 |
書面決議または意見聴取:債権者への書面での確認です。小規模個人再生の手続きでは、再生計画案への反対者が1/2を超えないことが必要です。 |
6 |
再生計画の許可:半数以上の債権者の書面決議が認可されれば、個人再生の許可が確定します。これ以降は、裁判所の関与は無くなります。 |
7 |
返済:決まった返済額を原則3年間で返済していきます。 |
注意点
- 事案によりますが、再生許可に至るまでは最短で6ヶ月程度と言われています。
- 手続き後に途中で返済が滞ると再生手続きが取り消される場合があります。取り消されると、元々の借金全額を返済しなくてはならなくなります。
- 弁護士、司法書士に依頼した場合には、申立て手続き、裁判所との連絡、債権者との交渉が無くなりますので手続きは大きく減ります。
裁判所への申立てに必要な書類
個人再生は債務者と債権者との間に裁判所が介在して調停をおこないます。
個人再生は債務を大幅に減額できる手続きですが、裁判所の許可と債権者の賛成が得られないと手続きは成立せず不許可となります。
提出する書類も多岐にわたりますので、申立てに不備が無いように正確に進めて行かなくてはなりません。
裁判所にある書類
- 申立書
- 債権者一覧表
- 再生計画案
- 家計の状況
- 財産目録
- 資産目録
個人で用意するもの
- 住民票
- 戸籍謄本
- 預金通帳コピー(過去2年分)
- 給与明細書コピー(過去3か月)
- 源泉徴収票の写し(過去2年)
- 退職金支払見込額証明書
- 市民税・県民税課税証明書(過去2年分)
- 住居証明(賃貸契約書コピー)
- 不動産所有の場合(不動産登記簿謄本)
- 保険加入の場合(保険証書コピー)
- 車所持の場合(車検証、査定書コピー)
- 年金者、生活保護者の場合(受給証明書コピー)
- 自営業者の場合(確定申告書コピー)
個人再生の債務返済方法
小規模な個人再生では、住宅ローンを除き借金の総額1/5か100万円のいずれか多い金額を原則3年(最長5年)で返済していくことになります。そして、3ヶ月に一度以上の分割払いで返済していきます。
但し、債務者が持つ資産(財産)が100万円を超える場合は財産額までしか債務は圧縮できません。その財産の扱いは車や土地などの有形のものだけではなく、有価証券、貯蓄型の生命保険、解約返戻金がある保険なども含まれます。
また、サラリーマンの場合は退職金なども資産評価の対象になるので注意してください。
裁判所への申立ての注意点
提出する申立書、陳述書、債権者一覧表などの書式のひな形は地方裁判所によって違います。当然、書類に記述していく際に分からないことが出てきます。
裁判所によっては、書類の記述に関して親切・丁寧に教えてくれる裁判所もあれば、単に書類を渡すだけという裁判所もあるようです。
また、裁判所が選任した個人再生委員が債権者の、財産や収入を調査します。そして、再生計画のサポートをおこないますが、事務的な対応に終始したり、協力的でなかったりするケースがあります。
裁判所によっては、弁護士を代理人にすれば、個人再生委員を付けないケースがありますので、信頼できる弁護士に依頼すれば、迅速かつ確実に手続きを進めることができるでしょう。
- 個人再生の手続きのポイント
- ・虚偽の申立て内容があると、許可が下りない
・提出書類に不備があると受理されない
・個人再生後に、返済が滞った場合には、取り消される事がある
・地方裁判所によって、提出書類、手続き方法が異なる
・申立てから再生許可まで最短で6ヶ月ほどかかる
・弁護士、司法書士へ依頼すれば迅速かつ手間なく進める事ができる
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