
任意整理を弁護士に依頼すると法外な料金を取られると心配される方もいます。相談者が抱く弁護士のイメージとして、弁護士への相談は敷居が高く費用も高いという固定観念があるようです。
確かに、任意整理を弁護士に依頼すれば着手金・報酬などの費用が発生します。しかし、その費用を法外な料金に設定しているような法律事務所はまずありません。法律を専門職とする弁護士へ業務を依頼する対価としては、どの事務所も適正な金額設定がなされています。
但し、法律事務所によって料金プランや費用の考え方は違います。ここでは、任意整理を弁護士に依頼した場合の、料金と業務項目や注意点などについて解説していきます。
任意整理の一般的な料金項目
相談料 |
債務整理に強い法律事務所の場合は相談料は無料が多い。また、相談料30分 5,000円(税別)に設定している事務所もあります。 |
着手金 |
0円~5万円、着手金無料の事務所も多い。 |
基本報酬 |
債権者1社あたり20,000円~40,000円が平均的 |
減額報酬 |
過払い金請求により残債が減額交渉できた場合に発生する報酬です。無料の事務所が多いですが、減額された借金の5%~からに設定している事務所もあります。 |
過払い報酬 |
回収額の15%~30%が平均的 |
訴訟費用 |
過払い金請求が示談で解決できずに訴訟に発展した場合の料金。1訴訟10,000円~ |
実費 |
切手代、印紙代、交通費など |
※債権者が消費者金融以外、例えば商工ローン、クレジット会社、銀行、ヤミ金の場合には基本報酬が高くなる法律事務所があります。
任意整理、過払い金請求に強い法律事務所を選ぶ
任意整理の費用は法律事務所によって金額が違います。料金が安いから優良な事務所とは言えず、逆に料金が高いからサービス内容が充実しているという訳でもありません。
法律事務所探しの一つの目安としては、任意整理や過払い金請求の経験・実績はもちろんですが、過払い金の回収率を重視しているかどうかというのは弁護士選びの大切な判断目安です。
貸金業者はできるだけ、過払い金を払いたくありませんので、早い段階で発生している過払い金の半額程度で示談を求めて来るケースが多いのですが、回収率を重視する法律事務所は、訴訟に持ち込んででも回収率アップを目指すします。
この回収額が多ければ多いほど、依頼者にとっても事務所にとっても実入りが大きくなります。
一つ注意点としては、何でも訴訟に持ち込む法律事務所が良いという訳ではありません。貸金業者(消費者金融)によっては、武富士のように経営悪化により倒産して、過払い金が回収できなくなるケースがあるからです。
倒産の危険がある貸金業者とは早めに示談して少しでも回収しておくのが正しいという考え方もあります。
消費者金融事情に通じている借金問題に強い法律事務所は、示談と訴訟を柔軟に使い分けますので、事務所が示談を提案して来た場合には、その理由について相談してみましょう。
日本司法支援センター(通称「法テラス」)を利用できる法律事務所
任意整理の際に法テラスの民事法律扶助制度を利用できる法律事務があります。
民事法律扶助とは、弁護士費用の立替制度です。弁護士へ依頼したくても手持ちの費用が無い人が利用できます。
※この弁護士費用は法テラスが立て替えることになりますので、利用者は法テラスに分割で立替金を返済していきます。返済費用は5千円から1万円と廉価に設定されています。
クレサラ報酬基準をもとに弁護士費用が決まる
多重債務者が増加した時に、一部の弁護士の間で、適正を欠いた費用体系により多くの利益を出した事務所が現れました。利用者からも料金が不透明で分かりにくいというクレームが頻発したために、2011年1月に東京弁護士会は「クレサラ報酬基準」を改定しました。
任意整理の手続きにおいては、以下のように設定されました。
着手金 |
債権者が1社又は2社の場合 5万円以内(商工ローンの場合10万円以内)
債権者が3社以上の場合 2万円×債権者数(商工ローンの場合5万円×債権者数) |
報酬金 |
2万円×債権者数(商工ローンの場合5万円×債権者数) |
減額報酬金 |
残元金(ただし、利息制限法所定の制限を超える約定利率による金銭消費貸借取引について、引き直し計算後の残元金をいう。)の全部又は一部の請求を免れたときは、その請求を免れた金額の10%相当額。 |
過払金 返還請求 |
過払金の返還を受けたときは、返還を受けた過払金の20%以内。 |
※東京弁護士会HPより
このように、現在の任意整理における弁護士費用は、どの法律事務所もクレサラ報酬基準により設定されていますので適正な費用感となっています。そのため、かつて違って弁護士の間で大きい費用の差はありません。
任意整理をおこなう際の弁護士選びとして、費用は事務所選びの一つの要素ではありますが、それよりも、任意整理における事務所の実績・経験、さらに解決への考え方や、依頼者をどこまで親身になってサポートするかが重要なポイントだと思います。
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