任意整理すると、「今まで住み続けている家に住めなくなる」、「住宅ローンも債務整理の対象となり契約が打ち切られる」など、住宅ローンに影響を及ぼすと考える人が多いようです。しかし、それは違います。
任意整理は、借金整理の対象を選ぶことができる手続きです。ですので、住宅ローンをその整理対象から外せば、今までどおり住宅ローンを残して家に住み続けることができます。
但し、あくまで任意整理後も住宅ローンを滞りなく返済するということが前提となります。
ここでは、任意整理することで「住宅ローンやカーロ-ンの影響はどうなるか?」、「住宅を残したい場合に任意整理はベストな選択なのか?」について解説していきます。
任意整理で住宅(マイホーム)は残せるか
繰り返しますが、任意整理は、債権者を選んで債務整理をおこなう手続きですので、住宅ローンはそのまま残して、その他の債務だけを貸金業者と交渉するという事は可能です。
しかし、任意整理は債務の減額幅は決して大きい手続きではありません。その手続きは、貸金業者から取引履歴を取り寄せ、利息の引き直し計算をおこない過払い金を算出します。
過払い金があれば、それを元本に充てて、残債の将来的な利息をカットして貰いますが、債権者によっては残債の減額に応じない場合もあります。
住宅ローンは毎月の返済額も大きいため、住宅ローン以外の債務が大幅に減らなければ、毎月の支払いは苦しいのは変わりません。
一般論として、現在も多重債務を抱えて尚且つ住宅ローンも抱えて苦しんでいる人が選択する方法として任意整理の手続きは必ずしも適しているとは言えません。
一般的には、毎月の借金返済が苦しいけど、どうしても住宅(マイホーム、マンション)を残したいという事であれば、住宅ローン特則という特例があり、その他の債務の減額幅も大きい個人再生という手続きが最も適した方法になります。
個人再生と住宅ローンに関しては、こちらをご参照下さい。
任意整理後は住宅ローンは組めるか
任意整理をおこなうと、他の債務整理の手続きと同様で、俗にいうブラックリスト(信用情報機関に事故情報として登録される)に登録されます。この期間は新たなローンは組めませんし、クレジットカードも作れません。
住宅ローンも同様で新規ローンは組めなくなります。このブラックリストが取り消されるのは、一般的に5年~7年程と言われています。
どうしても、住宅を早く購入したい場合は、金融機関が評価する与信力を高めるという事が重要です。例えば、安定した職業に就いたり、務めている会社を辞めずに勤続期間を長くするというのも一つの方法です。また、年収がアップできれば尚良しです。
また、このブラックの期間中にできるだけ頭金となるお金を貯める事も重要になります。住宅ローンが組めるようになるまでは、できるだけ経済力を高める努力が必要です。
信用機関情報
機関名 |
取り扱い関連情報 |
登録期間 |
C・I・C
| クレジットに関する取引状況 |
登録なし |
J・I・C・C
| 信販会社、消費者金融、ローン会社、保証会社、 リース会社に関する取引状況 |
5年で解除 |
K・S・C
| 銀行、信用金庫、信用組合に関する取引状況 |
5年で解除 |
事故情報は任意整理に限らず、借金の放置や返済の滞りでも登録されます。どの信用情報機関も任意整理の和解が成立すると同時に事故情報が登録される仕組みです。銀行系で住宅ローンを申し込むには、K・S・Cの事故情報が解除されるまで5年待たなければなりません。任意整理から5年を経過すれば事故情報が解除され、信用情報は取り消されます。
カーローンはどうなる
カーローンがどうなるか?というのも住宅ローン同様に気になる問題です。任意整理では、住宅ローン同様にカーローンを残したまま債務整理の手続きができます。
しかし、法的な見解では、自動車は必ずしも生活必需品と見なされないため、その他の債務整理の手続きでは残す事はできません。
多重債務で苦しい中、カーローンとマイカーを維持していくのは大変な事です。自動車ローンは金利も高く設定されており、毎月の支払いとボーナス月の支払いだけでも大きな負担です。さらに、ガソリン、車検、保険、駐車場代などのコストを考えると債務者にとっては贅沢品と言えるかもしれません。
任意整理で無理にカーローンを残そうとせずに、返済が厳しいようであれば、カーローンを含めて整理する事も一つの選択肢に入れるべきでしょう。
- 任意整理と住宅ローンのまとめ
- ・任意整理では住宅ローンを除いて、他の債務だけ整理する事はできる
・任意整理は債務の減額幅が小さいため、住宅を残す手続きとしては不適切
・住宅ローンを残した債務整理は「個人再生」が最も適切な方法
・任意整理後に新たに住宅ローンを組めるようになるまで5年程度必要
・カーローンは残したまま、他の債務だけ整理する事はできる
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