過払い金請求バブルはいつまで続くのか?

過払い金請求バブルはいつまで続くのか?

過払い金請求バブルとはなにか?

過払い金請求とは、貸金業者が利息制限法の上限を超える利率で貸し出した利息は払い過ぎであり、利用者から請求があれば返還しなくてはならないという国が認めた制度です。

過払い金請求は、2006年1月に最高裁が利息制限法の上限を超えるグレーゾーン金利が原則的に無効である旨の判決を出して以降ブームになりました。
これを受けて消費者金融やカード会社、信販会社と取引があった人たちが、一斉に過払い金請求をするようになったのです。

こうしたブームとなる背景は、実は一部の弁護士事務所や司法書士事務所が一緒に作りあげたものであるとも言えますね。

実際に最も過払い金請求が多かったのは2006年から2009年の間です。この当時は都心の電車内の広告の大半は債務整理や過払い金請求の広告で占められていました。また、雑誌や全国紙の新聞広告などでもたくさんの士業事務所の広告を見かけたものです。

それだけ、この期間は過払い金請求のニーズが高く事務所も毎月たくさんの受任を行っていたバブル的な状況であったと言えます。

一般的に過払い金請求の報酬相場は返還額の約20%と言われています。
例えば、100万円の過払い金が発生していれば20万円を報酬として受け取ります。長期間、法定利息外の融資を受けていた人は過払い金が数百万円になる場合もあります。その場合には、高額報酬につながるような事案も頻繁にありました。

例えば、過払い金請求で実績のあるアディーレ法律事務所さんのホームページには、2014年5月時点で208,020件を受任して、1,134億1,766万円の過払い金を回収していると記載されています。つまり、着手金を除き、報酬を20%で設定した場合に単純計算しても約907億円の報酬利益が出ている事になります。

過払い金の発生総額は10兆円を超えると言われます。他にも過払い金返還請求をおこなう士業事務所はたくさんありますので、これらの事務所はのきなみ大きな報酬を得ていたことになる訳です。

しかし、誤解してはいけないのが、弁護士、司法書士事務所は過払い金請求の業務を着実におこない、それを回収することで、正当な対価として報酬を貰っていたわけです。
これを儲け過ぎだと非難するのはお門違いと言うものです。(実際に、過払い金が戻って喜んでいる利用者が大半なのですから)

こちらで過払い金について詳しく解説されています。

しかし、過払い金請求も既にピークを過ぎています

2005年以前の貸金業者からの借入金については法定外利息で融資を受けている可能性が高く、過払い金が発生しているケースは多いと思います。しかし、過払い金の時効は完済後10年です。それらの過払い金も徐々に時効を迎えています。

さらに、2010年には出資法・貸金業法の改正により、利息制限法の上限を超える金利は貸金業法による行政処分の対象となったため、以降は新たな過払い金が発生する余地もなくなりました。

実際に、裁判所でも2009年までは過払い金請求訴訟は増加していましたが、2010年以降は減少に転じています。あと数年以内で、過払い金請求案件はほとんどなくなる見込みとなっているのです。

現在では、一部の弁護士、司法書士事務所がテレビやラジオでCMを打ちラストスパートを掛けており、過払い金請求をおこなう利用者の掘り起こしをおこなっていますが、これらの広告も徐々に減っていく事になるでしょう。

これまで過払い金請求をビジネスの柱としてきた事務所は方向転換を迫られることになります。

しかし、過払い金請求はなくなっても借金返済に苦しむ人は跡を絶ちません。

借金問題は、今後も自己破産、個人再生などの需要はありますから、こうした案件に対するケースバイケースのきめ細かな対応ができる専門家が求められてくるでしょう。

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