「ニセ弁護士」の不正行為が横行している!非弁活動で稼ぐ人たちに騙されないようにしましょう

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弁護士になるには、司法試験という難関試験をパスしないとその職業には付けないと言うことは誰もご存知かと思います。

司法制度改革により、かつてよりも弁護士になれる門戸は開きましたが、それでも難関試験であることに変わりはありません。

その弁護士資格を持たないにも関わらず、過払い金返還請求という法律手続きをおこなって不正な儲けを得たという不届きな事件が起きました。

しかも、この事件では過払い返還金の30%も受け取っていたということです。
(通常は15~20%が相場です)

弁護士資格がないのに過払い金返還請求訴訟の法律手続きを行ったなどとして、広島県警は26日、広島市中区広瀬北町、無職高原信二容疑者(44)ら3人を弁護士法違反(非弁行為)の疑いで逮捕した。
名簿業者から購入した消費者金融の利用者名簿を使って勧誘電話をかけ、2年間で全国の125人から計4990万円の報酬を得ていた・・・

弁護士資格なしで過払い金返還訴訟、3人逮捕 Yahooニュース(7月26日)

弁護士になるための資格

日本弁護士連合会のホームページには「弁護士となる資格」で以下のように定義しています。

弁護士になるための資格を得るには、原則として、司法試験に合格し、司法研修所において司法修習を受け、修習終了時に行われる試験に合格し、修習を終えなければなりません(弁護士法第4条)。

ただし、例外として、次の場合にも弁護士となる資格が認められます(弁護士法第5条及び第6条)。

(1)最高裁判所の裁判官の職にあった者、
(2)司法試験合格後、5年以上裁判所調査官、裁判所事務官、国会議員等特定の法律に関係する職にあり、かつ、日弁連が実施する研修の課程を修了したと法務大臣が認定した者、
(3)司法試験合格後、5年以上法律学の教授又は准教授の職にあり、かつ、上記法務大臣の認定があった者、
(4)司法試験合格後、7年以上民間において又は公務員として法律に関係する職務に従事し、かつ、上記法務大臣の認定があった者、
(5)5年以上特任検事の職にあった者で、かつ、上記法務大臣の認定があった者

なお、以上の要件に該当する場合であっても、次のいずれかに該当する者は、弁護士となる資格が認められません(弁護士法第7条)。

(1)禁固以上の刑に処せられた者、
(2)弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者、
(3)懲戒処分により、弁護士・外国法事務弁護士であって除名され、弁理士・税理士であって業務を禁止され、公認会計士であって登録を抹消され、又は公務員であって免職され、その処分を受けた日から3年を経過しない者、
(4)成年被後見人又は被保佐人、
(5)破産者であって復権を得ない者

 

非弁行為ってなに?

弁護士資格を持たないのに、その業務をおこなうことを「非弁行為」または「非弁活動」と言います。

これは、「弁護士法に基づいた弁護士の資格を持たずに報酬を得る目的で弁護士法72条の行為(弁護士業務)を反復継続の意思をもっておこなう」という行為です。

弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

では、弁護士資格を持たないのにその業務をおこなうとどうなるのでしょうか?

弁護士法第77条では「非弁護士との提携等の罪」というものがあります。それによると該当者は「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。」と書かれています。

不正行為であり消費者を騙す詐欺行為であるのに、以外に軽い罰則ですね。(苦笑)

なぜ、非弁行為でトラブルになるのか

今回の事件とは関係ありませんが、非弁行為でよく起きるトラブルとして他の士業(司法書士、行政書士など)との問題があります。例えば、依頼人が法律家の業務範囲をよく知らずに専門家に相談したところ、相談を受けた士業がその業務範囲の境界線を超えて対応してしまったりする例です。

士業というのは特定分野の国家資格を持ち、その専門業務をおこなう事を許された専門家です。会社員などとは違い、その業務範囲は明確に決められています。

  • 行政書士の業務は公的機関への提出書類作成や権利・義務・事実証明などを法的観点で書類作成をおこなう専門家です。
  • 司法書士は不動産登記や成年後見、債務整理などの手続きをおこなう専門家です。認定司法書士は紛争額が140万円までなら簡易裁判所での訴訟代理はできます。

一方、弁護士は法律事務から訴訟まですべての法律業務がおこなえる無制限の国家資格を有します。

非弁行為のまとめ

各都道府県の弁護士会のホームページにも非弁行為への注意勧告が書かれています。

弁護士法では、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うこと(非弁護士行為)などを禁止するとともに、弁護士がこのような違法な非弁護士に名義を貸したり、非弁護士から事件のあっせんを受けたりすること(非弁護士との提携行為)を禁止しています。
当会では、こうした違法な行為を取り締まるため、非弁護士取締委員会という委員会で調査を行っております。非弁護士行為、非弁護士との提携行為については当会への情報提供をお願いいたします・・・(第二東京弁護士会HPより)

最近では、債務整理、離婚問題、遺産相続、不動産売買など本来ならば弁護士が扱うべき紛争業務を、ネット上で専門家と称して相談者を集める事業者が増えており問題となっています。

その多くが、困っている人を相手にカウンセリングやコンサルティングなどをおこなって不当に利益を得ています。

紛争や訴訟などの複雑な法律事案を抱えてしまったら、その分野に強い弁護士に相談するのが確実な問題解決法だという事は忘れてはいけません。また、専門家と称する人たちがどのような資格を持っているのか確認の上、依頼する事が大切ですね。

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