自己破産はすべての借金が免責になるは嘘だった?
究極の債務整理。それが自己破産
自己破産を認められても、税金をはじめ免責されない(返済義務)のある借金は残ります。
借金がかさみ、身動きが取れない場合、借金の返済方法の変更や免除をしてもらう事を「債務整理」と言います。
債務整理には、大きく分けて
- 任意整理:債権者と話し合って、借金額の一部免除や支払い方法の見直し
- 個人再生:裁判所に申し立てて、債務の圧縮
- 自己破産:裁判所に申し立て、借金を帳消し
という3つのパターンがあります。
この内、自己破産とは、裁判所に申し立てて、もはや支払い能力がない事を認定してもらい(破産宣言)、現在抱えている借金をゼロにしてもらえる(免責)という、いわば究極の債務整理方法でしょう。
より詳細な自己破産の免責手続きについて解説されているページはこちらにあります。興味ある方は参照してみて下さい。
そう簡単に借金をチャラにはできない。自己破産の意外に高いハードル
今まで抱えていた借金がゼロになるというのは、多重債務で苦しむ人にとっては、大変魅力的な話でしょう。
自己破産の歴史は古く、1922(大正11)年に制定された法律で、借金苦に悩む人を救済し、再び社会でやり直すセイフティーネットとして作られたわけです。
ただ安直に借金をこさえて、自己破産されちゃったら、それはそれで困りますので、自己破産を認めるには、それなりに高いハードルがあります。
細かい条件は色々ありますが、
- 本当に借金返済に充てる財産を持っていないこと
- 借金がギャンブルや遊興費のような、安直な理由でないこと
- 前回の自己破産から7年以上経過していること
など、本当に一生懸命やったけど、やっぱり借金が残ってしまったと裁判所に認められない限り、そうそう簡単には自己破産は出来ません。
これらの審査は厳しく行われ、それをクリアしてようやく自己破産が認められるわけです。
自己破産では、免責できない借金がある
自己破産が認められ、ようやく借金ゼロになった安心する人がいますが、実は自己破産で免責を勝ち取っても、チャラにはならない借金があるのは意外に知られていません。
自己破産で免責にはならない借金は
- 税金や健康保険、あるいは国民年金
- 刑事罰の罰金、行政罰の反則金
- 重過失のある交通事故の損害賠償金
- 離婚していて、その離婚原因が自分であった場合の慰謝料
- 離婚した子供の養育費
といったものです。
税金は踏み倒せない。罰金や反則金も無理!
自己破産で免責になるのは、基本的に民間相手の借金だと思った方がいいでしょう。
自己破産で免責を取れたとしても、滞納した税金や健康保険料、あるいは国民年金の督促は止まりません。これらの債権は国家ですので、返済義務はそう簡単には消えないわけです。
最終的には資産の差押さえをしても回収しますが、民間の借金取りとは違い、支払い方法に関しては柔軟に対応してくれますので、踏み倒しを試みるよりは、こまめに相談しましょう。
また刑事事件で有罪になった場合の罰金や、交通違反の取締りを受けて請求される反則金も、自己破産によってチャラにはなりません。
罰金は支払いを怠ると、最初は督促状ですが、それを無視すると労役場で、罰金分に相当する強制労働を課せられます。
反則金も無視し続ければ刑事処分へと発展し、やっぱり労役場送りになります。
税金などと違って、現金や財産を徴収される事はありませんが、身柄を拘束されて一定期間強制労働させられるという刑務所の疑似体験をさせられるハメになりますので気をつけましょう。(※刑務所と労役場は根本的に違う。ただし労役場の場所は、拘置所や刑務所の中にある)。
まとめ
交通事故で、自分に重大な過失があった場合の賠償金も免責されません(重過失がない場合は免責される)。
その他、慰謝料や養育費といった、民事によって支払い義務のある借金も免責はされないわけです。
そんなわけで、自己破産をした後でも国に対する債務や賠償金、あるいは養育費など日本国民として、あるいはプライベートな義務などの借金は消えません。
自己破産をするのは、人生の再スタートの為ですが、全ての債務から開放されるわけではないことを覚えておきましょう。