「住宅ローンが払えない=“銀行に処分される”」は勘違い!滞納したらまず対処すべきこと

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担保=“銀行のもの”ではない

銀行で住宅ローンを組めば、購入した物件は担保として第一抵当権がつけられます。ここまでは、ごく当たり前の流れ。ですが、もし住宅ローンが支払えなくなったら、担保である物件はどのように処分されてしまうのでしょう。

ほとんどの債務者が口をそろえて「物件は担保として銀行に管理されているから競売に出されてしまう」そう答えます。“ローンが払えない=銀行に処分される”、これは大きな間違いです。ただし、何も手を打たなければ、いずれ競売にかけられ差押えの対象になりますが。

担保とは、あくまで“管理されている”だけであって、自由に担保を処分できる権限はありません。債権者の承諾さえ得られれば、競売以外の手段で物件を売却することが可能となります。それが任意売却です。

物件が高い値で売れればその分だけ返済金を多く回収できるので、債権者にとっても都合の悪い話ではないのです。ただし、債権者(抵当権者)の了承を得ることなく勝手に担保を売却することは許されないので、正規の手続きが必須となります。

【参考】担保になっている不動産は誰のもの?
http://gmmi.jp/column/2012/07/post-78.html

要するに、一番の問題は“何も手を打たない”こと。住宅ローンの滞納や返済不能が確定したら、または予測できた段階で対処しなければなりません。これは、任意売却以前の問題です。速やかに行動へと移し、冷静に対処すべきが重要です。

住宅ローンを滞納したら対処すべきこと

月々の収入と住宅ローンを含めた支出を把握する

住宅ローンの返済が滞ったとき、把握すべきは収入と支出のバランス。まずは毎月の収入と必要な生活費、毎月の返済状況を確認します。ポイントは、“いくらの返済額なら可能か?”を知ること。

それが、次のステップへとつながります。毎月支払える範囲の金額が分かれば、債権者(銀行)に相談して“返済プランを見直す理由”になります。

住宅ローンの返済が滞ったとき、あるいは返済が困難になる場合には、まずは収入と支出のバランスを把握することから始めましょう。

大切なポイントは、「毎月の返済額がどの程度減少すれば支払いを続けられるか」です。

また、返済が滞ったり、他にも借金を抱えてしまった場合には個人再生という住宅ローンはそのままで他の借金を整理する手段があります。

現在の収入と住宅ローンを含めた支出を把握する

主な金融機関が返済に関する相談窓口を設けています。相談窓口の目的は、“なんらかの理由”で返済が困難になった債務者に対応するためです。ここで示す“対応”とは「返済プラン(返済計画)の見直し」。月々の返済額を見直し、現実的な返済計画を立て直します。

必ずしも債権者が返済プランの見直しに応じるわけではありませんが、まずは報告の意味をかねて相談することが大事。何もせずに放置するよりは、銀行に対する印象が良くなります。

最悪の事態は、「滞納分の一括支払い」を要求されるケース。こうなると、状況が悪くなる一方です。ギリギリの状態で返済プランの見直しを相談する前に、返済が困難と予測された時点で相談窓口へ連絡したほうが賢明です。督促状や催告書の放置は状況の悪化を招くおそれがあります。

【返済プランの見直し(リ・スケジュール)における条件】

  • 勤務先の倒産
  • 解雇、求職活動中
  • リストラによる退職、転職
  • 給与・ボーナスの大幅な減少
  • 業績不振による倒産、または収入の減少(自営業の場合)
  • 取引先・得意先の倒産による収入の減少(自営業の場合)
  • 政治情勢・経済情勢の影響を受けた収入の減少(自営業の場合)

など。

条件は各金融機関によって異なるので、取り急ぎ相談することが先決です。

条件をクリアすれば最長で15年の返済期間を延長することが可能。返済期間が延びたとはいえ、住宅ローンの滞納を防ぐことで毎月の生活に精神的な“ゆとり”が出ます。

早期の対処が、その後の方向性を左右する

住宅ローンを滞納したとき、督促状や催告書が通知されたとき、絶対に慌てない、そして放置しないことが大切。冷静に落ち着いて対応すれば今後の方向性を組み立てることができます。

  1. 月々の収入と支出を把握
  2. 債権者の相談窓口に返済プランの見直し(リ・スケジュール)を相談する。
  3. そのうえで返済プランの見直しが不可能であれば、任意売却で少しでも高値の売却を検討してみる。
  4. そうすれば、競売よりも住宅ローンの残債を多く減らせる。

たとえば、そんな方向性が見えてきます。

ポイントは、慌てず・落ち着いて・冷静な対処を。たった これだけですが、最初のステップが“その後を左右する”分岐点になることを忘れずに。

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