突然知らない会社から返済催促が来た…「サービサー」っていったい何?

突然知らない会社から返済催促が来た…「サービサー」っていったい何?
債権回収と聞くと怖いお兄さんやオジサン達が出てきて、威嚇と恫喝により取立てをおこなうイメージがありますね。
それが債権回収会社となると、裏社会の住人たちの巣窟のように聞こえてしまいます。

最近良く聞くようになった「サービサー」という言葉をご存知でしょうか。

これは、債権回収を専門におこなう会社のことで、債務を抱えた個人や法人に対して、正当な方法で回収をおこなう業者の事です。

では、「サービサー」とは、いったいどのような事をおこなっているのでしょうか?

サービサーとは

サービサーは、サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)に則って作られた株式会社です。日本では弁護士法により、債権回収を業として行うことができるのは弁護士のみと定められています。

しかし、不良債権が増大したことにより、これらの処理を促進するためにサービサー法が施行され、弁護士法の特例としてサービサーも債権回収ができるようになりました。

サービサーとして債権回収業務を行うためには、法務大臣の許可を受けなければなりません。サービサーの許可を受けるためには、資本金が5億円以上の株式会社でなければならないこと、暴力団員等の関与がないこと、取締役に1名以上の弁護士が含まれていることといった要件があります。

法務省の平成23年12月31日の調査によると、サービサーの営業会社数は92社です。金融機関が抱える不良債権はまだまだ顕在化されていないものも多く、これから先もニーズが増えると言われています。

過酷な取立てが社会問題化

かつては多くの貸金業者が、暴力団に債権を売ったり取立てを依頼しました。そのような業者は、債務者に脅しをかけたり24時間電話するなどして過酷な取立てを行いました。

2000年頃をピークに多重債務者の増加と、その人たちに対して暴力的な取り立てをおこなう行為により自殺者が増えて社会問題になりました。

そのため、こうした悪質な取り立てを排除するために、サービサーの制度ができたとも言えます。

サービサーの取立て方法

サービサーが債権回収を行う場合には、金融機関から債権回収の委託を受ける場合と、債権そのものを譲り受ける場合があります。サービサーは法務省の指導、監督のもと、公正な方法で債権回収を行います。取り立て方法についてもサービサー法により規定されていますから、強引な取り立ては行われません。

サービサーが債権回収業務の委託を受けたり債権譲渡を受けたりした場合には、まず、債務者に対してその旨と、全額返済してほしい旨を書面で通知してきます。

その後は電話や訪問による取り立てもありますが、サービサーも貸金業規制法の取り立て規制を受けますから、午後9時から午前8時までの電話連絡や訪問、債務者の意思に反する勤務先の訪問といった行為はできません。

消費者金融、信販会社の主なサービサー

かつては、貸金業者の中には悪質な回収会社に債権を売ったり、取立てを依頼するような会社がありました。

しかし、今日ではアコム、アイフル、プロミスなど大手消費者金融や信販会社もグループ内に、債権回収を主業務とする「サービサー」を子会社として持つようになりました。

これらの子会社は、親会社の利用者の債権回収だけでなく、他の金融機関の回収代行もおこなうなど幅広くサービスに対応している会社もあります。

  • アコム:アイ・アール債権回収株式会社
  • プロミス:アビリオ債権回収株式会社
  • アイフル:アストライ債権回収株式会社
  • レイク:新生債権回収株式会社
  • エポス:株式会社エムアールアイ債権回収
  • アプラス:アルファ債権回収株式会社
  • セゾン:ジェーピーエヌ債権回収株式会社
  • セディナ:株式会社セディナ債権回収
  • オリコ:オリファサービス債権回収株式会社
  • ニコス:エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社

ここに書かれているサービサーから、ある日突然請求書が送られてきたら債権がサービサーに流れたという事になりますね。気を付けましょう。

健全な取立て

健全な取立て
また、債務者が弁護士に債務整理を委託し弁護士からの受任通知を受け取った場合には、サービサーは訪問や電話による取り立てができません。

債務者は、サービサーから取立てを受けても、全額支払いが困難な場合には交渉することができます。実はサービサーというのはそもそも、債権を全額回収できなくてもやむを得ないというスタンスで業務を行っています。

特に、サービサーが債権譲渡を受けている場合には、不良債権を本来の債権額の数%という安い価格で買い取っていますから、買取額以上で回収できれば利益が出るのです。

サービサーも任意に債権回収できない場合には支払督促や訴訟などの法的手段をとることはあります。けれど、債務者に差押可能な財産がなければ結局回収できませんから、それ以上の取立ては行われません。

このように、今では大手の消費者金融もかつてと違い緩やかな取立て・催促をおこなっているのです。消費者金融の多くが違法な取立てを止めたという事は少しだけ安心できる話ですね。

しかし、街金やヤミ金などは、相変わらず違法な回収をおこなっています。
このような貸金業者には注意して欲しいと思います。

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