NHKの受信料、払わないといけないの?支払いに応じなければ問題が起きるのか?

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NHKの受信料、仕組みはどうなっているの?

“それ”は突然やって来ます。

ピンポーンとインターホンが鳴り、玄関の扉を開けると、
「NHKの受信料は支払い済みですか?」

そう聞かれ、思わず「いえ、まだですが・・・」理由も分からず、とっさに反応してしまうものです。半ば強引な「取立て」に戸惑ってしまいます。

何食わぬ顔で突然やって来るNHKの取り立て、多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

NHKの受信料は月額にすると1,300円前後ですが、契約した覚えもないのに“なぜ当然のように請求してくるのか”、疑問に思う人も多いはずです。

「受信機を設置しているから」なんて言われても、納得できないのが本音です。

そもそも、NHKの受信料は本当に支払う必要があるのでしょうか?

NHKは「放送法」に守られている

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NHKの受信料は「放送法」が強く関わっています。放送法とは、テレビ・ラジオなどのメディアに対する日本が定めた法律です。ワンセグ機能がついた携帯電話やパソコンも同じ扱いになります。

放送法のなかに、「受信設備を設置した者は、放送の受信についての契約をしなければならない」といった項目が定められています。つまり、“テレビなど受信設備がある時点で、NHKと契約しなければならない”という意味合いになります。

そのため、NHKの受信料は半ば強引に取り立ててくるわけです。

【参考】NHKが受信料をとる法的根拠は何か NHK on-line
http://www.nhk.or.jp/faq-corner/03jushinryou/01/03-01-03.htm

しかし、一つの疑問が生じます。
受信設備はあるけれどNHKとの正式な契約が済んでいなければ、その時点では受信料を支払う必要がないのでは?と思う方もいるでしょう。

そうです。まさに、そこが“NHK受信料をめぐる論点”となります。

NHKは観ないから契約しない、だから受信できないようにして、そういった「視聴の自由」を求める意見が後を絶たない現状です。ですが現在の放送法では、視聴の自由を認める方向性ではなく、「受信設備がある=NHKとの契約が必須」それがルールとなっています。

結果、“支払わなければならない”という結論にいたります。ですから、受信料を支払わなくてよいケースは、テレビなど受信設備が無い場合だけに限るのです。

NHKの受信料が裁判で問題になったことも

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NHKの受信料に対して、過去には裁判も行われています。2013年10月30日に開かれた東京高等裁判所の判決では、「NHKが契約の締結を申し込んでから2週間が経過すれば、裁判所の判決を待たずに契約は成立する」との判決が下されました。

たとえば、NHKの取り立てがやって来て一度目は支払いを拒否したとしても、2週間後に請求されれば支払いに応じなければならない、という解釈です。支払いを拒否すれば契約違反となります。

テレビ受信機を設置しているが,正当な理由なくNHKとの放送受信契約締結や受信料支払いに応じない受信者に対して,NHKが受信料支払いを求めた民事訴訟(未契約訴訟)で,2013 年10月30日,東京高等裁判所が初の高裁判決を言い渡した。
この判決では,NHKの受信契約締結申し込みに応じない受信者との受信契約成立には,承諾の意思表示を命じる判決が必要だとした一審判決を取り消し,NHKの申し込みから,承諾に通常要する相当期間(長くとも2 週間)を経過した時点で受信契約は成立し,NHKは,承諾の意思表示を命じる判決を求めることなく,受信契約に基づく受信料の支払いを請求できるとの判断を示した。

[参考]受信料未契約訴訟 初の高裁判決申し込み後,相当期間経過で契約は成立NHK文化研究所

それでも、いまだ決定的な結論は出ていない

「NHKが契約の締結を申し込んでから2週間が経過すれば、裁判所の判決を待たずに契約は成立する」と下された東京高等裁判所の判決ですが、この結果に、「契約を拒否する者に対して受信料を強制的に請求するのは問題ではないか?」という意見もあります。

そのようなルールが放送法のなかで定められていること自体が憲法違反ではないか、と指摘する意見に対し、最高裁判所の判決は未だ出ていません。これといった確証がなく、煮え切らないまま進行形となっています。

  • 「受信設備がある=契約しなければならない」ことが定められている放送法
  • 「放送法で強制的に契約を促すのは問題ではないか」、に対して高等裁判所の判決が出ていない
  • 以上の2点を踏まえると、決定的な結論が出されていないことが分かります。

    NHK受信料をめぐる裁判 過去の事例

    初の支払い命令 横浜地裁支部

    NHKが放送受信契約の締結に応じなかった相模原市の男性を相手取り、契約を結んで受信料を支払うよう求めた訴訟で、横浜地裁相模原支部(小池喜彦裁判官)は27日、男性に契約締結と受信料約10万9,640円の支払いを命じる判決を言い渡した。

    NHKによると、同様の訴訟で、被告側の反論がないまま、NHKの請求通りの判決が出たケースはこれまでに5件あるが、裁判所が双方の主張を踏まえ判断を示したのは初めて。

    判決によると、NHKは2009年1月、テレビが設置されていることを確認したが、男性は契約に応じず、「東日本大震災でテレビが壊れた」などと主張していた。判決は「放送法は、利用状態とは関係なく、テレビを設置した者から一律に受信料を徴収することを認めている」と指摘。契約を拒否する設置者に対しては、裁判所の判決を得ることで契約を締結させることができるとの判断を示し、男性に09年2月~13年1月分の受信料支払いを命じた。

    2013年6月28日 読売新聞より

    NHKの受信料は放送法に基づいて請求している

    • 「受信設備がある=支払い義務が発生」というわけではない
    • テレビを使用する以上、「受信設備がある=NHKとの契約が必須」となる
    • NHKから契約を催促されて2週間が経過すれば、契約が成立したことになる
    • 「放送法で強制的に契約を促すのは問題ではないか」これに対する判決は出ていない
    • 過去には、NHKの受信料滞納を裁判で請求されたケースもある

    NHK受信料支払いのまとめ

    現時点では、「テレビなど受信設備を使用している以上、NHKの受信料は遅かれ早かれ、いずれ支払わなければならない」そう考えておいた方が良さそうです。放送法が強く関わっていることが何よりの根拠なのです。

    問題が大きくなれば、裁判で請求されるケースもあるので無視し続けるのは得策と言えないようです。必ずとは断言できませんが、強引な取り立てが正当化される日も、そう遠くはないと思います。

    とは言いつつも、「はい、そうですか」なんて簡単に支払いには納得できないのが本音ですね。

    NHKの取り立てが来たとき、“なぜ払わなければいけないのか?”その根拠を詳しく聞いてみるのもありかもしれません。果たして、何人の取り立てが“その理由”を明確に説明できるのでしょうか。

    受信料を取り立てるだけが役割とはいえ、きちんと理由を把握していない相手には支払いたくありませんね。せめて、今回ご紹介した話くらいは取り立てる理由として説明を求めたいものです。

    それが、今できる唯一の「抵抗」といったところでしょうか。

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