「住宅ローン詐欺」と「過払い金和解詐欺」情報弱者に対する詐欺行為が横行

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詐欺師は情報弱者を狙う

多重債務者を狙った詐欺が横行しています。

これだけの情報化社会なのに何でこんな手口に騙されるのか?と不思議に思う事件が頻発しています。

騙される人と騙されない人が二極化している傾向がありますので、詐欺師が狙うのは情報弱者ということでしょうか。


特に狙われるのは借金を抱えた人です。

なぜかというと、多重債務に陥ると不安と恐怖でまともに思考能力が働かなくなくなります。
自分にすっかり自信を無くしてしまい、藁をもすがる気持ちからか第三者の話しを信用しやすくなります。

きっと債務者の人はこんな心理状態に陥るのではないでしょうか・・・

  • 焦燥感にかられ仕事も手に付かない
  • 返済しなくてはならないという恐怖観念に囚われる
  • 冷静な判断ができず貸してくれる相手を選ばなくなる(ヤミ金に手を出す)
  • 人に借金相談せず殻に閉じこもってしまう
  • うまい話があればすぐに飛びついてしまう

このように、借金を抱えると精神的な面での負の連鎖が起こることになります。

多重債務者に加担させる住宅ローン融資詐欺

そんな、債務者を利用してボロ儲けした悪質な詐欺事件が起きました。

BeomeosaBeomeosa / taylorandayumi

多重債務者に僧侶の資格を与えて改名させ、住宅ローンの融資金計約1億3000万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた無職三浦真明被告(47)に対し、京都地裁は18日、懲役3年10月(求刑・懲役5年)の実刑判決を言い渡した。
高橋孝治裁判官は「組織的で巧妙、悪質な犯行。僧侶の兄を仲間に引き入れるなど、事件で極めて重要な役割を担った」と指摘した。
判決では、三浦被告は兄で僧侶の道明被告(49)(公判中)らと共謀し、2009~10年、複数の借金を抱えて融資を受けられない男女を僧侶にして戸籍名を変え、東京都内の住宅ローン会社から4回にわたり融資金を詐取した。多重債務者出家させ改名、融資金詐取の男に実刑 読売新聞(2014年8月19日)

この詐欺師は、債務者に対していくばくかのお金を渡して、詐欺の片棒を担がせたのは間違いありません。

「生臭坊主」という言葉がありますが、聖職者であるはずの僧侶が共謀して、このような住宅ローン融資詐欺をおこなうとは驚きです。。

詐欺に加担した多重債務者がどのような人たちなのかは分かりません。

「詐欺師に弱みを握られたのか」、「上手く口車に乗せられたのか」、「1円でもお金が欲しかったのか」いずれかだと想像できますが、結局は多重債務に陥ったゆえに、切羽詰まってこのような名義貸しをおこなった訳ですね。

詐欺師から謝礼が支払われたとしても、きっとそのお金は消費者金融やローン会社など債権者の懐へと消えたことでしょう。

過払い金を払いたくない貸金業者が持ちかける和解詐欺

もう一つの詐欺事件を紹介します。

過払い金請求というものをご存じですか?

過去に貸金業者から借りて返済したお金が法定外利息だった場合に、その利息分が返金されるというものです。国が貸金業者に対して命じた措置ですので、正当な理由が無ければ返済の義務が生じます。

過払い金請求はすでにピークは超えたものの、TVCMなどの影響か、最近では地方在住の人が過払い金請求をおこなうケースが増えているようです。

利用者が貸金業者から利息制限法の上限金利(年15~20%)を超え借金している場合、返済しすぎた利息などを後で取り戻せる過払い金返還請求。ここ数年、全国での件数は減ってきたが、専門家によると、地方での相談は増える傾向にある。最近は、貸金業者が利用者に返済負担を減らすかのような示談話を持ちかけ、本来払わなくていいお金を払わせる「和解詐欺」も目立つという。【くらしナビ】過払い金返還請求、地方で相談増 気をつけて!「和解詐欺」Yahooニュース(2014年9月12日)

こちらは、貸金業者が詐欺行為をおこなっていると言うものです。

悪質な貸金業者は、利用者から過払い金請求を受けた際に「利息をゼロにする」、「元本返済だけで良い」など、借金返済において有利な条件をもちかけて強引に和解させるという詐欺行為が増えているとのことです。

一旦、和解をおこなえば貸金業者は過払い金を請求される心配が無くなるという訳ですね。

何とも悪質です。

簡単に騙されてしまう人たち

ここでは詐欺師の事は置いておいて、利用された多重債務者のことを考えてみたいと思います。

2つの詐欺事件を例に挙げましたが、前者の詐欺に加担させられた人たちは当然、悪いことをしている自覚はあったと思います。

しかし、追い詰められて止むに止まれず詐欺に加担した人も居るのではないでしょうか。

かつて路上生活者に生活保護の不正受給をさせる悪質業者の事件がありましたが、その構図に近いものがありますね。

また、後者の事件は「過払い金請求」という仕組みを詳しく知らなかったために、貸金業者の言うままに口車に乗せられてしまい判を押したのだと思われます。

やはり、過払い金は回収率の高い優良な弁護士、司法書士に依頼をしないと痛い目にあいます。

まとめ

2つの事件は性格は違いますが、共通しているのは借金問題において情報弱者だった人たちが騙されたということです。

借金で首が回らなくなってしまっても、債務整理を選択していれば詐欺行為に加担する事もなかったでしょう。また、過払い金請求を専門家に任せていれば借金問題が一気に解決できた可能性があった訳です。

また、中には債務整理や過払い金のことはある程度理解はしていても、専門家に相談すると「費用が掛かる」、「敷居が高い」などを理由に、相談するという選択肢を取らなかった人もいると思います。

しかし、弁護士に依頼する場合でも、政府が運営する「法テラス」という相談窓口を利用すれば、少ない費用で債務整理ができる場合があります。また、無料電話相談もおこなっており決して敷居も高くありません。

できるだけ情報弱者が少なくなり、これらのような詐欺被害が減ることを願うばかりです。

【参考】法テラスホームページ
http://www.houterasu.or.jp/

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